その4 作戦
Cooigerdieユースホステルのおばさんは相変わらず僕のそばを離れずになにかと世話を焼いてくれる。
身の回りの世話を焼いてくれるのは一人になった今となっては大変ありがたいことで、心強い。
後に聞いたことだが、山崎もこのユースホステルへ一旦舞い戻ったという。
パースからカルグーリーまでグッドトレインに乗ってきたらしい。
そのあたり、笑い話のようだが、グッドトレインというのでGoodと思ったらしいが実はグッズトレインすなわち貨物列車のことだったという。
大陸横断鉄道のような豪華な列車を想像したらしいのだが、やたら運賃が安くて儲けたつもりでいたらしい。
貨物列車には最後尾に客車がポツリと1つだけ付いている場合が多く、各駅停車で発車時刻や到着時間がはっきりしないのも特徴であるようだ。
彼は僕がこのユースを出た次の日あたりに到着したようだ。
なにしろこのあたりの記録がお互いに定かではないのでなんとも言いにくいものだが・・・・。
はっきり言えるのはここで僕と山崎は顔を合わせた覚えが無いということだけ。
このユースには他に3.4人のヒッチハイカーが泊っていたのだが、殆どのハイカーが僕と同じ方向に向かうという。
次の日、僕は少しだけ早起きをして、車を拾うのに適したポイントを他のハイカーより早く押さえようと出かけた。
流石に僕が一番にいい場所を押さえたのだが、後から来たハイカーの一人にヘッドを譲ってあげた。
これはヒッチハイクの極意にも書いたのだが、ヘッドを譲るのは親切心でもエチケットでもなく、いわば作戦である。
ヘッドに立っているハイカーは魚釣りで言う「撒餌」(まきえさ)であって、ドライバーがハイカーを見つけて、一瞬乗せてやろうかどうか必ず迷うのだ。
迷った挙句乗せてやろうと決心したときそこに立っているハイカーが恩恵にあやかるチャンスが訪れる。
案の定、一台の大型トラックが僕の前で止まった。
「アデレードまで行くよ」
「サンキュー」
こうして、作戦は見事に実を結ぶ。
天敵 へ