3人娘と僕はBichenoを発ってColesBayへと向かった。
ColesBayに何があって、どんなところなのかは僕には関係ない。
大好きなキャサリンと一緒にいるというだけでいいのだ。
でも、ただ好きだというだけで何ら進展がある訳ではないのだが・・・・。
ヒッチハイクも順調だった。
お昼までに現地に全員到着して、この半島を散策した。

案の定風光明媚なだけでなんら面白みの無い所ではあったが、僕にとってはキャサリンといるだけで充分で、それ以上は何も望まない。
キャシーが小高い丘を指差して、「あそこへ登ろう」と提案したのだけど、マギーとスーザンは「時間が掛かるから」と一蹴。
「じゃあ、わたしはホリと一緒に登るから先にユースへ行ってて」
ということになりまして、ふたりで登ることに。
下から見ればそんなに距離が無いようだが、かなり険しくうねうねとした道が続く。

今夜泊るユースは半島の対岸であるSwanseaにある。
距離的には大したことは無いのと、このタスマニアでのヒッチハイクが随分と楽に車が止まってくれるので、ある意味油断をしていたともいえる・・・・・。
丘から下りてきたのが夕刻であり、ヒッチハイクしようにも自動車が走ってないのだ。
ColesBayにはこの時間こちらに向かって来る車はあっても、こちらから出て行く車が無いのだ。
キャサリンとふたり時々振り返りながらSwanseaへ向かう道を歩くが相変わらず車の通る気配が無い。
時間だけがどんどん過ぎて行き、あたりにも夕闇が包み始めた。
スーザンやマギーの制止も聞かず、ホリにまで迷惑を掛けて・・・・とキャシーが涙ぐみ始めたのでそれを慰めるのに冗談を言ったりするのだが実らず、彼女はとうとう泣き出してしまった。
「うーむ・・・・・困った・・・。」
最悪道端で野宿しないといけないかな・・・・僕にすれば宿が無ければ仕方が無いとかたづけられることだがまだ20歳にも満たない女性にとってはとてつもない大事件なのである。

あたりはすでに真っ暗になってしまい、ギュッと握るキャシーの手が彼女の心情をそのまま僕に伝える。
心細いんだろうな・・・・・。
なんとかしてやれないんだろうか・・・・。
相変わらず一台の車も通る気配が無い。
そのとき、遠くにぼんやりと家の明かりが見えた。
「キャシー、僕が帰ってくるまでここにいろよ。絶対動くなよ。」と言い残し、僕はその明かりの方向へと走った。
その家には夕飯を済ませたばかりだという気配。
ドアを叩き、声をかける。
中からは初老の神経質そうなおじさんが顔を覗かせた。
僕は必死に自分がどういう者で、これからどうして欲しいのかを話した。
おじさんは僕のひと仕切りの説明でやっと事情が飲み込めたようで、にっこりと笑ってくれた。
「ありがとう、ありがとう」言葉にする数倍の回数を心の中で繰り返し、おじさんへの感謝で一杯だった。
トラックでキャサリンのいる場所へと向かう。

ヘッドライトに映し出されたキャシーの顔は「信じられない」という驚きと、僕への信頼が満ち満ちていた。
トラックに揺られながら涙声でおじさんにユースホステルまでの道を説明するキャシー。
僕は見ず知らずのひとの家をノックして、車で自分の行きたいところまで送ってほしいと凄く厚かましいことをやったものだな・・・なんて反省しながらも、一人の女性を助けるためにはこんな手段も仕方なかったよな・・・と自分に言い聞かせた。
ユースに到着し、おじさんに丁寧に礼を言った後、マギーとスーザンの出迎えてくれた前で、キャシーは僕に抱きつきキスをした。
僕は日本人として人前でこういうことをされるのは凄く恥ずかしいんだけど、僕の好きな女の子にキスされるのは許せる・・・・・・・・・・。
とはいえ、あまり二人で長く抱擁状態だったので、ユースの管理人から頭をゴツンとやられてしまった・・・・・・・・。
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