サイクリング編
1 決断
2 ヒッチハイクの極意
3 ポルシェは快適
4 作戦
5 天敵
6 タスマニアへ行こう
7 時間にルーズ
8 タスマニア上陸
9 予定変更
10 車が来ない!
11 別れる
12 飛ぶ
13 Hobart
14 その声は
15 ライバル登場
16 またね
17 炎天下の出来事
18 タスマニア最後の夜
19 いゃっほーっ
20 シドニーへ帰還
21 北へ
22 山崎日本へ帰る
23 グリーンアイランド
24 ケアンズの夜は更けて
25 イナゴ大発生
26 エヤーズロック
27 アリスの風
28
ツアー編

その23   グリーンアイランド


 シドニーあたりに比べてかなり気温が高い。
ブリスベーンからここケアンズまではパイオニアバスを利用してやってきた。
直行バスは料金が安い上、うまく利用すればヒッチハイクで各駅停車で移動するより旅費が助かるという考え方もある。特に今は雨季なのでヒッチハイクをやる気は起きない。
雨季といっても毎日毎日シトシトと降る雨ではなく、空が突然ゴロゴロ言い出した後、ドサーッと降り出すような雨でいかにも男性的な空模様だ。
ケアンズへ到着して是非行ってみたい所はグリーンアイランドである。
グレートバリアリーフの中にあって、レストランとホテルが一軒づつあるようなかなり小さな島だが、その美しさは尋常ではないようだ。
無論ホテルへ泊まるなどということは贅沢だから考えていないが、日帰りも可能なようなので、朝船に乗って出発、夕刻にケアンズへと帰るというプランにした。
翌朝、ケアンズへ向かう港で日本人3人と出会った。
男性のトシと別の女性二人組である。
連中は偶然にも同じ飛行機で日本へ明日帰るという。
すなわち今日が最後のオーストラリアになる。
トシはIBMに勤めていたのだが、ノイローゼ寸前で会社を辞め、逃避の旅に出たといい、女性二人組は当時としては飛んでる女性たちだ。
グリーンアイランド、この島の海は確かに日本で見るどの海より美しい。
船が停泊すると同時に僕は例によってレストランでフィッシュチップを買い、それを団子にして釣り針を包むように付け、桟橋から海に投げ入れた。
1.2分もしないうちに見るからに熱帯魚と思える巨大な色鮮やかな魚が釣れ、サシミにして食う。
こんな調子だから、釣りは辞められません・・・・。
トシが海から上がってきて言った。「ホリ、海の中にでかい貝がいるよ。」
おおっ、貝柱が食えそう・・・・・。なんでも食い物に見える・・・・・。
潜ってみると確かに大きなアコヤガイがうじゃうじゃいるではないか・・・・・・・。
持参の登山ナイフを素早く砂の中に半分隠れている貝の中に突っ込み、貝柱を切る。
すると貝は力なく大きな口を開いて砂の上に横たわる。
重さは有に20キロ以上あるだろうその貝を砂浜の上で裁く。
貝柱とヒモは貴重だが、肉の大部分は捨ててしまう。
焼いたらきっと食べれるだろうが、貝柱だけでも直径10センチ以上あるので、後5個くらい貝を採ってきたら全員の昼飯になるだろう。
バーベキュー施設でもあれば言うことは無いのだが・・・・まあ欲は言うまい。
次に食後のデザートを調達せねば・・・・。これはすでに目を付けてあるが椰子の実だ。
椰子の木へ登るにはロープがあれば比較的簡単に登れるが、ロープが無ければ出来るだけ地面と水平に伸びている木を探すと登りやすいのだが、あいにくどの木も垂直に立っていたので、かなりきつかった。
ようやく登りきって、椰子の実をナイフで切り落とした時に木の下から大勢のおばちゃんが盛んに写真の被写体として僕にカメラを向けて、大きな声で「あなたこの島の人?」
なんて聞いてくれる。まあ、この格好だし、色の黒さからも日本人なんてことは言っても信じてもらえんだろうから、「I Came from SUBA」と答えておいた。
SUBAすなわちフィジーである。
「Oh indeed」って信じるな、こら・・・・・。
写真のモデルになっていたら手がしびれてきて、降りきるまでに握力が限界になり、途中からズルズルと滑り降りる格好になり、お陰でお腹と下半身の恥ずかしい部分が摩擦であわや海水パンツが擦り切れる寸前であった。
取った椰子の実のジュースを飲んだ後はその実をかち割って中にこびりついている椰子のバターをナイフでそぎ取り食す。
これがたまらなくおいしいのだ。いわばナタデココの原料である。
僕はおいしいといって食うのだが、他の連中はそんなに興味を示さないのは何故?
きっと僕のほうが何かとワイルドなんだろうな。
オーストラリアに来てからというもの、食えるものを見つけたら木の実だろうが、魚だろうが手当たり次第に口に入れてきたから身についてしまったようだ。

ケアンズの夜は更けて へ