その30 アデレードまで一気

アルデゲートでの出来事はまさにつかの間の夢か幻か。
竜宮城の浦島太郎の心境ならばもうしばらくとどまっていようってなことになるのだろうが、我々には節度というものがあって、いつまでも楽ばかりしているわけにも行かない。
とはいえ、結構良い思いばかりしているような気がして他の苦労ばかりしている冒険家には本当に申し訳が立たない・・・・・・・。
堀江健一なんか海の真ん中だから誰もちょっと寄っていけやとは言わなかっただろうし、植村直美にしたって、せいぜいオットセイと遊ぶ程度しか楽しみは無かっただろうと思うと、こんなことしていていいのかと思ってしまう。
で、そんな細かいことは抜きにして。
・・・・このあたりがほりけんの能天気なところで、深く考えないし、物事を後ろ向きに考えない。
アルデゲートからはずっとアデレードまで下り坂。
これまで貯めた貯金を使う番だ。
「いゃっほーっ」ってな調子で坂道を転がり降りる。
自転車ツーリングの経験者ならこの気持ちはわかってもらえるとは思うが、登りがキツイ分下りが楽しみだ。
エンジンブレーキを使ってトロトロ走っている車を右側から追い越す。
こちらは速度が出ているため、ブレーキそのものが弾き飛ばされる恐れがあるので、出来るだけブレーキをかけない。
半ばノーブレーキに近い状態で走るので時速70km程度は出る。
重さ60キロの自転車が時速70キロで走るのだから曲がり角はオートバイと同じように膝すれすれまで身体を倒しながら曲がる。
このあたりの爽快感がたまらないのだが、反面事故ったら命は無い。
良い子は真似をしないでね。
まるまる1日掛けて登った峠を1時間半そこそこで駆け下りてしまった。

アデレードの町並みである。
ここアデレードにも船で知り合った知人がいる。
その家を訪ねて住所を頼りに走る。
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