その34 苛立つ
アデレードを出てから初めてのまともな町、PortAugusta。
Eyre Highway に入ってから相変わらず二人とも機嫌が悪い。
ここPortAugustaでキャンプを張ったとき、僕が食料の買出しを終えテントに戻ってきたときテントの中に見知らぬ外国人と山崎が談笑していた。
なんでも、この町のバーで知り合ったのだとか。
彼はイギリス人でオーストラリアをヒッチハイクでラウンドしているのだとか。
彼も山崎もある程度飲んでいるせいもあって、食事の用意をする様子も無くくっちゃべっている。
おまけに山崎は彼に「ここに泊っていけ」と言っている。
二人で寝ても狭いこのテントに大男のこのイギリス人を泊めるだと?。
そのうえ、僕がたった今買ってきたオレンジを「これ持って行け」と勧めている。
「ちょっとまて、どういうつもりや?。このオレンジは砂漠を走るための命の水の代わりやと思って仕入れてきたのであって、人にやろうと思って買ってきたのと違うぞ」
と、カチンときたのでそう言い放つ。
「なんでや、彼は客人やないか」と山崎は返す。
「客人?、この国では僕らも客人で、イギリス人だけが客人やないわい。」
もう、客人がそばに居ようが関係なしに口げんか。
その客人、気配を察してそそくさとテントを後にした。
二人だけになったテントの中はまた険悪な無言、沈黙の状態に戻った。
それだけ今の我々を取り巻く環境が過酷だったというべきか、とにかく自分の苛立ちがどこから来ているのかはわからないが、相手を悪者にして自分を正当化しようとして衝突。
周りで見ていたら夫婦喧嘩のようなものかもしれないが、とにかくお互いに極度の疲れから来る苛立ちの真っ只中に居た。
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