その48 この丘を越えれば

朝からダラダラとした道を登ってきた。
この丘を越えればパースはもうすぐだ。
峠に差し掛かったとき、予想したとおり涙が流れ落ちた。
それは山崎も同じで、顔中くしゃくしゃにして泣いている。
ひとしきり遠くに見えるパースの町をを眺めながら泣いた後、今度は二人とも達成感から喜びが噴出してくる。
「ついにここまで・・・」という気持ちが込み上げてくるのだ。
日本に居るとき、この計画が僕に知らされた時点からこの旅は始まった。
ある友人に「もしかしたらオーストラリアへ自転車で行くかもしれない」と話したときに友人は「バカなことを考えるな」と言い、いざ出発する直前その友人が私に
「まさか本当にやるとは思わなかったよ、僕も出来ることなら自分の思い描いたことをたとえひとつでも実現させたいけど、勇気が無いから何も出来ないで居る。
そんな風に飛び込んでいけるお前が本当に羨ましいし、尊敬もする」
といってオイオイと泣き出したのを思い出している。
私自身も自分に正直に生きたいとは常々思っていたのだが、その友人と同じで常に引っ込み思案で、あれこれ悩んでいるうちに時間が通り過ぎてしまうそんな自分が嫌でもあった。
ここにきて、自分の生き方に渇を入れることが出来たと思う。
自分は自分の生き方を貫けばよい。
このとき私の年齢は20歳。
パースは遠く へ